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小説「水際の日常。」小豆モチ・著

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「水際の日常。」小豆モチ・著
書籍|新書判
全122P
1,000円
2023/10/1発行
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【小豆モチ Profile】
頭のネジが外れ気味な旅好きひきこもりフェミニスト。お調子者の鬱。リモート農家。パ・リーグビギナー。猫好きの虚弱体質。夜型人間。遺伝子学的にはM8型北方漢民族の系譜らしい。シルクロード! 千葉ロッテ、楽天イーグルス。グレープカンパニー推し。
小豆モチSNS→https://lit.link/azukimoti

「フェミニズム、通用せずの現場から。」
【あらすじ】
 人の多すぎる都会は怖い、でも寂しくならない程度に人の気配があって、海に面した土地がいい…。なんのゆかりもない過疎の港町に引っ越してきたアラフォー子なしバツイチのあたし。人口を1人でも増やしたい行政は移住者のあたしにウェルカムモードだったが、実際、女がこの地で身一つで生きるためには職や治安などのハードな現実と向き合う必要があった。昼職だけでは食べていけず、日銭を稼ぐために初めて足を踏み入れた夜職の世界。スナックや居酒屋の数が少ないこの町では派遣コンパニオンというスタイルが働きやすい。リモートワークの移住者、ワーケーションの都会人を横目に、夜の世界から見た悲喜こもごもを淡々と綴る。
※短編小説「右折の恋人」収録。

(本文より) 
 亜哉子ママが長年大事に手入れしながら保管してきた上質で美しい着物たちは、まだまだ合格点に至っていない接客の所作の粗を上手に隠してくれるのに加え、癖の悪いお兄さん方から甲冑のように自分を守ってくれる気もする。
 けれども、中には、和装したあたしの胸元に酒の勢いを借りて堂々と片手をしのばせ生乳を揉み、ブラジャーと乳の隙間に諭吉を挟んで勝ち誇ったような態度を取る品のないお兄さんもいる。 それが諭吉でなく英世だったら輪をかけて胸糞が悪い。手荒いセクハラ代としてチップをいただいても、残念だがそれらは直接あたしの懐には入らず、置屋に全額渡す決まりになっているからはっきり言って揉まれ損でしかない。

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